依存症の回復プログラム「12ステップ」とは? -概要-

依存症

こんにちわ、ぱらきぃとです。

依存症の自助グループで使用されている回復プログラムの「12ステップ」という言葉。
聞いたことがあるけどよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

確かに、「神」や「ハイヤーパワー」といった聞きなれない単語が出てきて、普段の生活にはあてはめずらい。
しかも、なぜこれで依存症から回復できるのか、論理的な理由が分からない。
最初はそのように感じると思います。

しかし、このプログラムは依存症の本質的な原因に踏み込み、「生き方」そのものを変えていく極めて有用なプログラムであり、
今日までに多くの依存症の方がこのプログラムに取り組み、人生を取り戻してきました。

この記事ではそんな12ステップがどのようなプログラムであるか、という概要について書いていきたいと思います。

12ステップの文言

12ステップは自助グループによって若干の文言に違いがあるのですが、
一番有名なアルコホーリクスアノニマスが使用しているアルコール依存症のための12のステップを記載します。

  1. 私たちはアルコールに対し無力であり、思い通りに生きていけなくなっていたことを認めた。
  2. 自分を超えた大きな力が、私たちを健康な心に戻してくれると信じるようになった。
  3. 私たちの意志と生きかたを、自分なりに理解した神の配慮にゆだねる決心をした。
  4. 恐れずに、徹底して、自分自身の棚卸しを行い、それを表に作った。
  5. 神に対し、自分に対し、そしてもう一人の人に対して、自分の過ちの本質をありのままに認めた。
  6. こうした性格上の欠点全部を、神に取り除いてもらう準備がすべて整った。
  7. 私たちの短所を取り除いてくださいと、謙虚に神に求めた。
  8. 私たちが傷つけたすべての人の表を作り、その人たち全員に進んで埋め合わせをしようとする気持ちになった。
  9. その人たちやほかの人を傷つけない限り、機会あるたびに、その人たちに直接埋め合わせをした。
  10. 自分自身の棚卸しを続け、間違ったときは直ちにそれを認めた。
  11. 祈りと黙想を通して、自分なりに理解した神との意識的な触れ合いを深め、神の意志を知ることと、それを実践する力だけを求めた。
  12. これらのステップを経た結果、私たちは霊的に目覚め、このメッセージをアルコホーリクに伝え、そして私たちのすべてのことにこの原理を実行しようと努力した。
アルコホーリクス・アノニマスより

その名の通り、プログラムが12のステップに分けられており、1から始めて12進めていく中で回復が起こるというものです。

「なんでこのプログラムが依存症の回復に役立つの?」
それはなぜ依存症になるのか、ということを理解する必要があります。

依存症とはどのような病気なのか?

12ステップを理解するためには、まず依存症とはどのような病気なのかということを理解しておく必要があります。
12ステップは依存症を
「性格上の欠点により神から隔絶されてしまった『霊的な病気』と定義しています。」
あまり聞きなれない言葉ですね。

性格上の欠点というのは自己中心性や他者への恨み・恐れです。
親からの虐待やイジメ、こういった環境によってコンプレックスやトラウマを抱えることにより、次第に他者を恨み・恐れるようになります。
この自己中心性により、家族・友人関係などの社会的関係は壊され、恨みと恐れにより孤独感や不安を感じるようになります。
この孤独や不安感から逃れるためにアルコールや薬物が必要になるのです。
しかしアディクションを使うことにより、この恨みと恐れはさらに増大し、結果的に負のスパイラルとなってしまいます。

同時にこの恨みと恐れ(=性格上の欠点)より、愛なる神との関係性が失われてしまうのです。
そうなると自分の間違った欲のままに自分の人生をコントロールしたいと思うようになり、生きることがままならくなってしまいます。

12ステップは神との関係を再構築する

ここで12ステップが登場します。

12ステップのステップはいくつかのグループにカテゴライズできます。

■ステップ1〜3
自分の人生がアディクションによってどうにもならなくなったことを認め、
人生をハイヤーパワーにゆだねる決心をする。

■ステップ4〜9
自分自身の過去に犯した過ち、他者に対する恨みや恐れを書き出し、スポンサーと分かち合います。
そのあと、傷つけた人や恨んでいた人に埋め合わせをします。

■ステップ10〜12
日々、人を傷つけた・恨んだことがなかったか自分自身を点検し、
祈りと黙想と通して神とのつながりを楽しみます。
また、これまでで経た自身の回復のプロセスや喜びをまだ苦しんいる依存症の人に伝え続けます。


これらを進めていく中で、心の内にあった恨みや恐れが取り除かれ、心の平安や喜びに置き換えられていきます。
恨みや恐れによって生じていた罪悪感からも解放され、愛なる神との関係性も回復していきます。
愛なる神と心から交わることによって、自分の意志ではなく神の意志にゆだねていく人生が始まります。

自己中心ではなく、他者中心に
恨みではなく、愛に
恐れではなく、勇気に

心が満たされ、何かに依存して生きるといった自己中心的な生き方ではなく、他者のことを第一に考えた愛のある生き方へと変えられていきます。
これを12ステップでは「スピリチュアルな目覚め」と言います。

おわりに

この12ステップは他の心理学的な治療法や認知行動療法のようなものとは性質が異なります。
しかし、依存症からの回復にはとても有用であり、生き方そのものを変えるプログラムです。

難解な部分もありますが、12ステップ以外で喜びある人生を手にできる依存症の方はあまりいません。
依存対象自体を止めることはできても、生きづらさを取り除くことは他の方法では難しいのです。

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